S級の視線
                                    平田生雄

 第10回   【いつでも・どこでも・だれでも

      
 私達が「サッカー教室」を始めた頃の出来事ですが、会場には数百人のチビッ子が参加して楽しい一日でした。
 隣の会場はソフトボール大会で盛り上がっていた。
ファウルボールが車のボンネットに当った時には「危ないので車を移動して下さい」とアナウンスがされたが、子供達が蹴ったボールが車の下に入った時のアナウンスは「車の傍ではボールは蹴らないで下さい」であった。
 似て非なるコメントに唖然としたのですが、不思議な事に誰も疑問すら感じないで従うのである。
 関係者に「おかしいと思わない?」と聞いたら「もめると貸してくれなくなるからね」(*_*) 師でもあるセルジオも「これが日本のスポーツ事情だよ」
 アナウンスした運動公園の女性に非が有る訳では無い。
「サッカーをしている我々が変えるしかないでしょ。」と笑っていたセルジオも怒りを噛み殺していた。


 時は流れ、少年サッカーの誕生から30数年が過ぎて、J−リーグの発足、ワールドカップの共催も実現したのである。
 サッカーを愛する多くの人々の努力と英知の結集によってもたされた財産なのである。
 しかし、サッカーの普及・育成・強化には終わりの無い。 
EverOnward「限りなき前進」 私も好んで使う言葉ですが、前向きな姿勢を持ち続けたいものですね。


 公園や河川敷は三角ベースや草野球の天下だった時代からサッカーをしている姿も多く見られるようになった。
 親子でキャッチボールしている光景とボール蹴りする姿が同居出来るようになれば、あの時の光景に出会う事も無いと思うのである。
 淋しく感じる事ですが、広場で相撲を取る姿を見なくなったし、親子で布団の上でも相撲をしなくなったようである。
 前の話と重複しますが、遊ばなくなったスポーツは衰退の危機に有ると言えるかも知れない。
 「他山の石」と傍観していると明日は我が身である。