S級の視線
                                    平田生雄

  第28回   【サッカーが大好き・子供が大好き


 
私は、特別に恵まれた才能が有るとは思いませんが、サッカーに長く携わる事が出来たのは、パートナーと幸運に恵まれたからにすぎない。
 短かった選手生命に見切りをつけて、サッカーで生計を立てる[野望=無謀]を実現出来たのも、パートナーであるセルジオ越後氏の存在と、サッカーの普及育成をサポートしてくれたスポンサーの支援の、お陰であると思っている。


 私自身も、それなりに努力はして来たつもりであるが日本のサッカーが大きく変化して行く時期でもあり「時の運」も追い風となったと感じています。
 友人は「サッカーの指導で飯食ってる最初の日本人」と評価してくれるが、自分の意識の中には「サッカー=仕事」ではあるが、プロ意識は皆無なのである。


 サッカーに携わっておられる誰もがそうであるように、仕事に対する誇りと責任は持っているし、サッカーを仕事として続ける限りは「向上心と探究心」は持ち続けようと思っている。
指導者として認知されるようになったのは20代後半であるが、その頃に子供達とサッカーしている時が一番充実していると思えるようになりました。
しかし、サッカーが少し「上手い」程度で、それを生業に出来るような「甘い世界」では無い事は、百も承知している。
まして、指導者の大半は熱心なボランティアであり「厳しい視線」を感じる事も有りましたが、真摯に受け止めて友好の輪を広げていけるように努めて来た。


 私の指導の原点は「サッカーが大好き・子供が大好き」であり、これからも変わる事は無いのである。
サッカーを通じて多くの友人・知己にも恵まれ、日本各地を巡って見聞を広める事が出来たのも幸運でしたが、指導者として育ててくれた「サッカーと子供達」の為に、微力ながら貢献する事が「私の使命」であると、常に言い聞かせている。


 ともすれば忘れてしまいがちな「当然な事」なので、行き詰まった時や指導プログラムを作成する時には、「初志と原点」に戻るように心掛けている。


                   【生】の「指導の原点」より抜粋