S級の視線
                                    平田生雄

  第33回   【Method

 辞書を調べてみると、方法・手段・秩序・手順・計画性 etc.
サッカー用語で言う[Method]の観点を別の角度から見ると、楽しいのではなかろうかと思います。

 
 演劇の世界では、俳優が役柄になりきるために経験や個性を生かした演技手法を指すようである。
 サッカーの世界でも[伝説のチームと名優]が誕生した背景には、このような[Method]が存在していると思えるのである。

 レアルマドリー、マンU、リバプール、バイエルン、ACミラン、アヤックス、サントス、ボカJr.・・・ etc.
 上記以外にも数多く挙げられると思うのですが、短絡的であるが[独断と偏見]で選んでみました。
 それぞれが名門クラブである所以は、組織力・資金力もさることながら名優達の存在無しでは語れないようであり[永遠のMethod]として脈々と受け継がれており、優勝回数や記録という数字だけでは、計る事の出来ない[HistoryとStory]が存在するのである。(詳細は割愛)


50年代から、レアルマドリーがチャンピオンズカップに5連覇した時は、ディ・ステファノを中心にプスカシュ(ハンガリー)コパ(フランス)にスペインの精鋭を揃えており[白い巨人]と崇められ、まさに無敵艦隊であった。
60年代には、King−Peleとセレソン7〜8名を擁して華やかなプレーを披露したサントスは「ブラジルの親善大使」として世界中を訪れたのである。
 サッカーの母国、イングランドでは悲惨な航空機事故から奇跡の復活をしたマン−Uの躍進は驚異的であり、ジョージ・ベスト、デニス・ロー、ボビー・チャールトンが、懐かしの三菱ダイヤモンドサッカーで日本のサッカーファンを魅了したのである。
 ‘70年代に、ヨハン・クライフを擁してセンセーショナルなスペクタクル・トータルフットボールを展開したアヤックスは名将ミケルス監督の演出による身体能力の高い選手達の織成すコラボレーションでもあったようです。
 優雅さでは、皇帝フランツ・ベッケンバウアー抜きでは語れないようで、当時の西ドイツはバイエルンミュンヘンを「核」にして王者として君臨したのである。
80年代は、天才ディエゴ・マラドーナの一人舞台と言っても過言では無く、一挙手一投足に酔いしれたものです。


 名優と名脇役達が舞台で活躍した背景には、スタイル・戦術だけでは語れない、それぞれの[永遠のMethod]が存在しており脈々と受け継がれて来たのである。
 しかし、時代の移り変わりと共に「受け継がれたMethod」は終焉を迎えたようであり「コンピューターを駆使した最新アニメや合成映画」に似た手法が横行しているようである。


 多くのサポーターやファンは「本物の出現と復活」を待ち望んでいるし、J−リーグや日本代表に望みを託すのは「酷な事」であろうか?


        【生】のメモ[LegendとMethod]より抜粋。