第34回 【姿勢と視野】
吸い付くようなボールコントロールから[技の玉手箱]のように多彩なプレーが繰り出される。ペレ、マラドーナ、ジダンのプレーを見て、胸のときめきを抑えきれないような感動を覚えた経験は、誰もが有ると思います。
子供達にとって、その感動は「絶好の教材」でもある。そのようなプレーの[源]は【姿勢と視野】に有り、状況に応じた多彩な選択が可能になるのです。 確かに非凡な才能の為せる技と思われる伝説のプレーは語り草となって歴史に残るものであるが、その原点はストリートサッカーで培われて来たものである。 路地裏や広場で育まれる[素養]は計り知れない財産で、才能を開花させるステージとしては申し分無い悪条件が、実は最高の場なのである。 バスケットボールのストリートバスケットも然りである。
動物的な身のこなしや獲物を狙うような目配りは、整った環境や練習で培われるものではなく、育まれた素養を定着させるのがトレーニングであり、足りない要素の強化や改善が為されるのである。
大人や大男に混じってプレーしていれば、否応無しに戦う姿勢が身に付くもので[遊びの道場]を乗り越えた者にチャンスが訪れ[厳しい修羅場]をくぐり抜けて選手としての道が開けて来るのである。
ブラジルで研修した時に「日本では練習で上手くさせる?上手くなった子供に練習させれば良いと思うよ。」 サンパウロFCのスカウト部長の言葉に感心していたら「常識だろ、可能性の無い所に井戸は掘らないよ。」と笑いながら追い討ちを掛けられた。 日本とは、サッカーに関しての歴史や環境も違うので、その是非を語るつもりはないが、スカウト部長に選ぶ時の秘訣を聞いたら「もし平田が選ぶとしたら?」と聞かれて「姿勢と視野」と答えたら、笑顔でウインクとサムアップが帰って来た。
「姿勢と視野」この言葉の前に、技量や体力は言うに及ばずポジショナル特性も含めて[広義]に捉えて下されば幸甚です。
ちなみに「姿勢と視野」はクリエイティブのKeyFactorでもある。 「サッカーは世界の言葉」と重複しますが、次世代のサッカーが豊かであってほしいと願ってやまないし、想像を越えた[Creator]のプレーも観たいものである。 |
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