S級の視線
                                    平田生雄

 第49回    Academy

JFAが、中・高校生を対象に[JFAアカデミー福島]を開校するようです。

当然、日本を代表する選手を育成するエリート教育として注目されることでしょう。

「良い環境・良い指導・良い素材」で育成される明日の日本代表に期待が集まるのも当然であり、周囲の雑音が彼らに圧力にならなければ良いと思っている。


顕著な例としては、アンリ・トレゼゲ・ヴィルトール他、多くの選手育成で成果を上げたフランスサッカー協会のアカデミーが有名であり‘98年の自国開催のW−Cup初優勝とヨーロッパ選手権の優勝は フランスサッカー協会育成プロジェクトの勝利と言われています。


 国家プロジェクトというより組織的に強化育成するシステムとして、注目したいと思っていますし[J−Club]にも蓄積した育成システムが有る訳ですから良い意味で、お互いに切磋琢磨して良い選手を輩出して欲しいものです。

「事を始める時」には多少のリスクや問題を抱えているもので順風満帆に進む事は有りえないと思うが、将来展望として[JFAアカデミー]が日本各地に開設出来るようになれば30年前に発足した「トレセン構想の集大成」になると思われます。

今迄に何度か同じような話をしましたが、来日した外国籍選手の大半はブラジル人であるが、南米から来た選手達にトレセン制度について聞いてみると「そんな事必要無いでしょ」って異口同音に聞き返すのである。

南米のクラブでも各カテゴリーでの育成に関しては独自のプログラムを持っていて他のクラブとのライバル意識もあるようです。

クラブの方針も有るのでしょうが指導者自身が育成に関する指導哲学や指導方針を持っていて成果が上がれば評価され次のステップへの足掛りになるし、結果が出なければ職を失う事にもなりかねないのです。

そんな環境の中で揉まれながら何度でもチャレンジして、自分を売り込んで行く強さと逞しさを持っているのです。

  当然、選手も同じような厳しい道が待っているのである。

国家プロジェクトやトレセン制度といった[形]ではないが、なんども篩[ふるい]にかけられながらチャンスを掴もうとする選手や指導者に【野生のAcademy】のような逞しさを感じるのである。

気懸りなのは、多感な思春期に合宿生活をする訳ですが、親の愛情に育まれる事の大切さを感じるのは私だけでは無い筈である。

取り越し苦労かも知れませんが、親に勝る(代わる)人は居ないものです。

 いずれにせよ、育成の道は厳しくても「遣り甲斐の有る仕事」であるから「その道の為に成す仕事」を選択するのは、至福の喜びと楽しさが有る筈です。