S級の視線
                                    平田生雄

 第53回    Big Easy
   


 スケールの大きい優雅な表現であり日本語には無い感覚ですね。

南アフリカ出身のプロゴルファーであるアーニーエルスに付けられたニックネームですが、ゆったりとしたスウィングから繰り出されるポテンシャルの高いティーショットを見れば【BigEasy】という言葉が理解出来る筈です。


 優雅でスロービデオを見るようにゆったりとしたドリブルから、さりげなく投げるように繰り出されるベッケンバウワーのパスは一度見れば病み付きにさせられます。


 ジダンのストライドが広くて流れるようなドリブルからワンフェイク入れて繰り出す多彩なスルーパスや必殺シュートには何処にも力みが感じられないのである。


 このようなプレーを言葉で表現すると大きな筋肉( Big Muscle )を有効に使いながら静かに体重移動させる事で生まれてくる「ゆったリズム」なのである。


 技術的な習得に関して「ゆったリズム」は、誰もが憧れるものであり単純な動きに見えて非凡な才能なのである。


 彼らのプレーや動きを観察しても、歪みや力みが感じられないので[非凡=平凡]と錯覚してしまいそうになります。


 誰もが彼らのプレーに憧れて真似てみるようですが、簡単に見える一連の動きが異次元に思えて出来そうな疑似体験に一喜一憂させられるそうです。


 骨格筋にシンプルな動きを覚えさせる事は難しいことではなく、いくつかの骨格筋を連動させて体重移動における力配分の同調をさせる事で、大きなエネルギーとポテンシャルを産みだす事が可能になるのです。


 力配分の同調 = 押す力と引く力の力配分を、同じにさせることで大きな筋肉を「ゆっくりとスムーズに動かす」事が出来るようになります。


 私自身、趣味でゴルフを嗜みますがアーニーエルスのイメージでスイングしてみますと何となく「ゆったりと大きく振れる感覚」が解るような気がします。 具体的には背筋力の引く力と大臀筋の押す力を同調させてスイングする感覚です。


 以前は力任せに飛ばしていましたが中年になっても飛距離が出せるのは、用具とボールの進歩も有りますが【BigEasy】なスイングイメージに近づいたからではないかと自負と誤解をしていますがスコアは、あまり進歩していないのが実情である。


 但し、彼らと同じような【BigEasy】と言われるような、ゆったりとした優雅でスケールの大きい動きが出来ているとは言い難いのですがチャレンジしてみると自分の中に新しい感覚が芽生えてくるものです。


 「我々には無理だ」と思ってチャレンジする前に諦めてしまうようですが、子供達がチャレンジしようとした時にも「我々には無理だ」と言って【BigEasy】のイメージも伝えられないとしたら少し寂しいと思いませんか。


 彼らのプレーを解読してみると【BigEasy】とはスポーツの根底に有る簡単で易しい大切な要素であると伝えています。


 それでも難しい? 案ずるより先ずチャレンジしてみませんか?