第54回 【ラドロン】
サッカー用語の中でも試合中に頻繁に使われる言葉である。
ご存知の方も多いと思いますがポルトガル語で「泥棒・盗人」の意味である。
以前、協会から発行された資料に[用語の統一]に関する事が書かれていたと思いますが、初めて聞いたサッカー用語の多さに驚かされたものです。
私の知らない間にサッカー用語はこんなにも増えていたのだろうか。
ちなみに【Ladrao】は英語の【Man on】と同意語でありサッカー協会では用語を統一する意味でも【Man
on】を推奨している。
統一するのは賛成であるが【Ladrao】は味方にリラックスさせるように「囁く」のですが【Man
on】は味方に警告を発しているかの如く「叫ぶ」のである。
多分、JFAのコーチが指導者に解り易く言ったのだと思って研修会で聞いてみると「明確にハッキリと伝える」のが正解であり大きな声が大切であるとか。
コーチングとは味方に(+)になるから必要であり相手に聞こえるような大声で味方にストレスを感じさせるような叫び声は(−)だと疑問を感じるし反論したくなりましたが、学ぶ事も「亦、愉しからず」であり洗心の思いである。
コーチングは「明快に簡潔に」が肝要であり用語の統一はもとよりトーン(声の質)と感情の抑制も大切に指導すべきであると感じている。
師匠に「ブラジルでは試合中にどうなの?」聞いてみたら大笑いされた。
その意味は直ぐに理解できたが、念の為に具体的に聞き直してみると当然でしょといわんばかりに肩をすくめて両手を広げたのである。
必要最低限の用語しか使わないが情報は飛び交っているのが実状である。
選手が選択するのに必要な用語と情報が簡潔に伝わるからミスが減るのであり間違った解釈を避ける為に用語の統一は必要である。
少年サッカーに「ターン」「マノン」等の用語が浸透しているのは良い傾向であるが
[Perfect Skill] が身に付いて必要になってくるものですから、平素から神経質に使わせる必要は無いのです。
指導者は多くの情報が技術と戦術の習得を阻害する危険性が有る事を理解しておく必要があるのです。
見えない・聞こえない状態に近づけてトレーニングしてみると習得には効果的かも知れないので指導の
[Key Factor] として取り入れては如何でしょうか。
宮本輝紀氏(故人:Legend参照)から、40年前に聞いた話しであるが「夜中に学校のキックボードで、ボールを蹴ったり止めたりすると良い練習になる」テルさんのニヒルな笑顔の下に大切なエッセンスが隠れていたとは、当時の平田少年には知る由もなかったのであるが、テルさんのエッセンスを盗んだとしても【Ladrao】とは言わない人でした。
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