S級の視線
                                    平田生雄

 第56回    クラブ経営


 サッカークラブで幼児から活動しているチームが増えているようですが、従来の活動だけでは少子化の影響も有り「背に腹は代えられない」のが実情である。


 そういえばJFAも[KidsProject]を立ち上げて各地で展開されているようですがクラブ経営とは次元の違う観点で語るべきものであり成果は即効性の有るものではないので気長に見守りたいと思っている。


 少年サッカー(幼児も含む)をスクールとして運営して、既存のボランティアクラブから収益法人やNPO法人に移行しているクラブも少なくないようです。


 公認ライセンスを取得したコーチ陣を数名抱えて専用グラウンドにクラブハウスやバスも整備されて複合(総合)スポーツクラブとして運営されている組織もあるようでサッカーを母体とした【クラブ経営】も目覚しく進歩しているようです。


 私のようなアナログ的指導者は金儲けや複合スポーツとの効用に疎いものですから時代に置かれてしまいそうですが、先ず現場の指導が的確に行なわれているか?子供達は楽しんでいるか?私の優先順位はその程度なのです。


 経営者としての才覚や将来を見据えた雄大なビジョンを持っている有能な人材と企業の進出によって次世代のスポーツクラブの形態も進化するのであろうと思われるし欧米型とか日本の古い考え方とかを議論する次元のものではない【新次元のクラブ経営】であって欲しいと願うものです。


 地方文化と方言を育んだ環境とグローバルな構想がジョイントしなければ根付かない植林になりかねないものであり、時代が進んで便利な社会になったとしても人の営みから豊かさが失われてしまうのであれば近代化とはいえないでしょう。


 いつの時代にも子供が誕生して成長を願う親がいるわけで、地域に根ざした人間性を育むスポーツクラブであれば必ず受け入れられる筈です。


 現実的には多くの子供達を抱えているスポーツクラブで行なわれているサッカースクールではサッカーの専門的な知識やコーチングは不要なのかと感じてしまう事が多いのも事実であり、心身の発育発達と個人差の大きい低学年層のプログラムが画一的に行なわれる現実にクラブ経営の辛い一面を見る思いである。


 確かに、限られた時間内に人数を楽しませて運動させるのは、容易な事ではないのであるがコピーされた指導マニュアルが消化されるだけのプログラムにはなってほしくないと思うのです。

 スイミングスクールでは技量・達成度のレベルにあわせて指導マニュアルが作成されているので個人の進級プログラムが段階的に組めるようです。 


 良い指導をする為に努力している指導者が大半であると信じているが現実的にはマニュアルに疑問も持たないコピーが一人歩きしているのも事実である。


 マニュアルを否定するもので無い事は理解してもらえると思いますが、クラブ経営の原点にはヒユーマニズムが有ると思うので「血の通った心の通じ合う指導」を望むのは、自然であり難しい注文ではないと思うし「指導する側も、される側も楽しい」筈である。


 私も若い指導者に現場を任せて「今迄の経験と習得した知識を活かして心の通った指導と運営」をサポートしたいと思っています。


 聞けば簡単に思えるものですが、生易しくない事はサッカーの指導に精通している者でも至難の業であるから「辞められない」のである。