S級の視線
                                    平田生雄

 第66回    オシム監督の薀蓄


 誰もが好んで用いる言葉や比喩があると思いますが【薀蓄】を語るには知識だけでなく人生の重みのようなものが滲み出てくるものですね。


 ジェフ千葉の Ivica Osim 監督 はコメントに必ず味付けをしてくれるので興味深く聞き入ってしまいますが期待を裏切らないのが嬉しいですね。


 選手育成の手腕も流石ですがオシム監督への評価は「走る」であり技術・戦術的には具体的に聞こえてこないようですが、ユーゴスラビアの監督をされていた時も一貫して走れる・動ける選手を起用していました。


 ストイコビッチに代表されるバルカン半島のブラジルと賞賛されたテクニシャンを数多く輩出しましたが驚異的な運動量に支えられていた事も事実である。


 オシム監督が東京オリンピックにユーゴスラビア代表で出場していたそうですが自身の体験から足り回れる肉体があれば、戦術・技術の足し算が容易になるようであり指導者として実践してみて確信が得られたようである。


 [J−リーグ]が発足して以来、監督のコメントで一番楽しみなのがオシム氏でありサッカーに限らず人生に必要なエッセンスをバランス良く調合してくれて誰もが判り易く諭してくれる神父さんのように思えますね。


 その中味を理解しようと彼のコメントを繰り返して読んでみると【薀蓄】の深さが滲み出てくるようです。


 流石に「オシム語録」と言われるだけあって核心の比喩や言い回しには日本人では使わないような表現が多いようですが通訳の間瀬秀一氏の表現力豊かなセンスの良さも見逃せませんね。


 ともあれ、ジェフ千葉の[HP]にアクセスすれば出会えますので「百聞は・・・」であり覗いて見て下さい。


 私自身が雑学と呼ばれる色々な知識の収集や体験から【薀蓄】を肴に語り明かす事も少なくないので友人・知己には多大な迷惑を掛けて来たようである。


 オシム監督のように洗練されたコメントは小生には到底、無理であろうと思えるのですが「無い物強請り」であるとしても学ぶ事は無尽蔵にあるようです。