S級の視線
                                    平田生雄

 第74回   神の手・巧みの手


 脳神経外科医で世界的な権威である福島孝徳医師はTV等で何度も取り上げられているのでご存知の方も多い筈です。


 「私は休む事を好まない。向上するために常に努力を惜しまない。」どこかで聞いた言葉と重なって聞こえますが[神の手]と賞賛される名医は弛まない努力と日々の研鑽の積み重ねによって今迄に数万人の命を救ってきたのである。


 その福島医師が「もし私が脳血管の手術を受けるとしたら上山医師にお願いしたい。」と絶賛されるのが旭川赤十字病院の上山博康医師である。


 生死に関る数時間に及ぶ大手術を終えて、家族の不安を吹き飛ばすように「勝ちましたよ。」とうっすらと笑みを浮かべておられる姿は[神様]に見えますね。


 上山博康医師は自らを一介の職人みたいなものですよと笑って答えられますが神業のような技術は福島医師と比較されて[巧みの手]と称せられて超多忙なスケジュールを余儀なくされて、ご自身の歯の治療もままならないようです。


 我々にとっては【神の手・巧みの手】は無形文化財のような存在であるが若くて有能な医師達に伝授・伝承されて【救いの手】が多くの患者に光明を与えてくれる事を願わずにはいられません。


 サッカーで【神の手】と言えばディエゴマラドーナであり二度もアルゼンチンの窮地を救ったのであるからアルゼンチンサポーターに喜びを与えたという意味では[Godhand]を見逃したレフリーも結果的には粋な計らいをしたと言えますがW−Cupの歴史を変えてしまったとも言えるようです。


 日本のサッカー界で【神様】と讃えられたのが日本代表を率いるZico監督ですが就任以来、神がかり的な勝利を収めてW−Cup出場を決めましたが2002年日韓共同開催を上回る成績が残せば日本サッカー史にその名を永遠に刻むのではないでしょうか。


 我々凡人には別世界とも思える神の領域に触れてみましたが名医の言葉と日々研鑽されている姿に指導者として必要不可欠な姿勢が存在していますね。


 【神の手・巧みの手】は庶民の為に還元される施術であり病む人が居れば受けられるように二人の名医は願っておられる筈です。


 私は神の領域が何処に在るのか判りませんがサッカーを愛する子供達や上手くなりたくて模索して悩みを救えるなら手を差しのべたいと思っています。


 その為に【神の手・巧みの手】の姿勢を忘れずに精進したいと思います。