S級の視線 |
平田生雄 |
第75回 【 Brincadeira 】 直訳すれば冗談とか娯楽となるのですがブラジルのサッカーを象徴している言葉であり理解するには不可欠なキーワードである。 アジアのサッカーでは想像出来ない事であり日本のコーチングスクールでは絶対に学べないサッカーに必要と思われる素養なのです。 断言はしませんがブラジルではサッカー選手であれば誰もが持っている素養であり子供の頃からスキルやテクニックと同じように磨かれるものであると言っても過言ではないでしょう。 「ペレの特集の数々」や「ガリンシャとジョンボボ」の映像は【Brincadeira】そのものであり日本で放送すると顰蹙を買ってしまうような場面も数多く大半の人が合成と勘違いして思わず【Brincadeira】と叫んでしまいそうである。 ペレやガリンシャのような究極の話は別にしても【Brincadeira】は普段の生活にも欠かせないアロマ(=エッセンス)であり草サッカーでも充分に体感できるしブラジルの魅力はそんな処にもあるのです。 くだらない話し=【Brincadeira】を知っているだけでブラジルのサッカー通になったような優越感に浸って上手くなったような錯覚を覚えるのである。 ブラジル流のボール回しを[ポゼッショントレーニング]として捉えるのは堅物であり[Bobinho=踊る阿呆・猫じゃらし]を楽しむ事が【Brincadeira】であり相手を股抜きしてシャペウで仰け反らせて振り向き様に股抜きの連発・・・惨めを通り越している光景はまさしく【Brincadeira】そのものです。 ブラジルの都会には「空き地や原っぱ」が消えてしまったので楽しさを知っている大人達は多いけど子供達はサッカースクールとかスポーツクラブでしかボールを蹴る機会が無くなって【Brincadeira】は消えゆく風物詩になってしまうと嘆く人もいるが[ Samba.Cafe.Brincadeira = Futebol]はブラジルそのものであり大地に浸み込んでいるアロマそのものなのです。 虐めて楽しむ快感を覚えると自然に[Next One]がイメージされて次の餌食を探して試してみたくなるらしいのですが上手く行かなくても失敗ではないので遊び心は尽きないものです。 ロナウジーニョやロビーニョが相手に挑む姿に【Brincadeira】を感じた人はブラジルのアロマに染まっているかも知れませんね。 そして日本が世界に近づいたのも【Brincadeira】を理解できるサッカー仲間が増えた事も大きな財産だと思います。 何故って? 日本に来た外国籍の選手で一番多い国は圧倒的にブラジルであり今も昔も変わらないようです。 なのに、選手育成や指導メソッド等はドイツでありフランスのアカデミーの手法を導入するのは成功例を重視するからでしょうね。 曖昧な【Brincadeira】から学ぶ事なんて何もありゃしないよ。(笑) |