S級の視線
                                    平田生雄

 第77回  【 ドイツから南アフリカへ
 


 今年ワールドカップが開催されたのに遠い昔の話のように思えるのは代表メンバーが大幅に入れ替わった事でそう感じるのでしょうか。


 それだけ[Zico−Japan]の印象は薄かったと思えるしフラストレーションの溜まるような采配にはうんざりしていたのでフランクフルトでの終焉を見届けたのが遠い夏の出来事であったと感じたからに他ならない。


 いずれにせよ、ジーコ〜オシム監督に変わる迄の[JFA]役員のドタバタ劇はお粗末極まりないものでしたが引責問題も含めて巧く切り抜けたのは流石ですね。


 哲学者の風貌で上目遣いに見つめるオシム監督の視線の先には明日〜未来が見えているように思われますが現有する代表メンバーで今迄のチーム以上の成績を残すのは困難極まりないでしょう。


 しかし、過酷なスケジュールで代表メンバー選考を強いられても泰然自若の構えで居られるのは今迄の経験から推測して難しいものではないのでしょう。


 ジェフ千葉を[J−リーグのお荷物から脅威]に変身させた手腕とオシム監督の過去の実績を過大評価すると期待はずれと感じるかも知れませんが置かれた立場から短期での成果を求める必要も無いし結果に一喜一憂すべきでは無いでしょう。


 代表はその国のサッカーを映し出す鏡のようなものであり代表選手のレベルには多少の差異は有ると思いますがTop−10をキープしている国々は明らかに日本との違いを感じます。


 [JFA]が差を埋める為に育成〜強化に関しても色々なプロジェクトを試みて概観では縮まったように思われますしオリンピック出場もままならなかった時代からみれば飛躍的な進歩であると言えるものです。


 これは日本の経済力からすれば妥当と思えるような進歩であるが胸突き八丁ではないが山の頂が見えてから遠く厳しい道程が残されている事を肝に銘じて挑むべきであり登頂した喜びは我が国の財産にも匹敵する筈である。


 オシムジャパンは代表のイメージまでも覆されたようなサプライズが感じられますが未だ試行錯誤を繰り返しながら絞り込んで行く段階であり代表メンバーの背番号を見れば一目瞭然であるが思わず笑ってしまうようです。


 加茂監督〜岡田監督で臨んだ‘98年を除くと外国人監督への依存度が高い訳であるが、それ自体が発展途上の手法であると言えるものであり[J−League]のメンバー構成を見ても助っ人に頼っている限り代表の強化の妨げになっている事も事実であり日本のレベル向上に貢献した助っ人が足枷になるとは・・・。


 ともあれ大きな夢に向かって船出したばかりである。