S級の視線
                                    平田生雄

 第78回    C L
 
 世界の最高のイベントと言えば四年に一度のフットボールの祭典[W−Cup]であり異論の無い所である。


 確かにフットボールの歴史は[W−Cup]と共に綴られて来たと言っても過言ではないしルールやシステムの変遷も[W−Cup]が世界基準の指針になっていたと言えるでしょう。


 国家を代表して試合に出る訳ですから選ばれた選手の忠誠心は並々ならぬ決意が込められているであろうし国民の期待もエスカレートするようです。


 しかし、居ながらに世界のトップクラスのリーグが生中継で見ることの出来る時代になり[Champions League]では世界中のトップクラスのプレーヤーがEU圏に集結しているので世界最高レベルのゲームを披露してくれている。


 イベントとしての総合評価で言えば[W−Cup]であるがフットボールのクオリティだけを取り上げれば[CL]ではなかろうかと思っている。


 EU圏のリーグ上位のチームによる予備戦を勝ち抜いた32チームによって本戦が行なわれる訳ですがグループリーグから準決勝までホーム&アウェイで戦い抜いて決勝戦に臨むレギュレーションであるが出場選手の大半は代表もしくは代表クラスで占められているし代表チームより厳しいレギュラー争いを強いられるチームも少なくないのです。


 国内リーグやカップ戦も並行して行なわれている訳で必然的に Turn over せざるを得ない為に2チーム分のレギュラークラスの選手を保持しなければ[CL]の制覇は望み薄であり二兎を追って虻蜂取らずという結末が待っているものです。


 [CL]制覇を狙えるチームは限られていると言っても過言では無く歴史が物語っていますが今やフットボールに関する情報がガラス張りであり実力差も紙一重だとすればビッグクラブがアウェイで叩きのめされるのもサプライズではない。


 {CL}の出場チームの方が国家代表より優れたチームが出来る理由を難しく考えるより適所適材に選手を配置して必要なスペシャリストを獲得出来るチームであれば期待を裏切らない芳醇なワインのように豊かで完成度の高いフットボールを披露してくれるはずです。


 個人的には30数年前に所属していたチームのユニフォームと同じロッソネロが、お気に入りであるが[CL]に出場している選手の中からアグレッシブで勇敢な才能を発見できる喜びは早起きの辛さも忘れさせてくれるようです。


 4年に一度の発表会まで待てないし輝きを求めて世界最高峰のクラブで日本人選手が数多く活躍出来る日が来る事を望んでいるし、それが世界に認められたバロメーターだとすれば世界で羽ばたいて欲しいものです。


 ちなみにブラジルから世界中にプロ選手として登録されている選手が2,000人以上も居る事には驚きますが来日している選手や東南アジアにも数多くいるようで[CL]に出場している選手を見れば納得出来るサプライズである。