S級の視線
                                    平田生雄

 第81回    データ分析
 
 
 サッカーの指導者に限らずデータ分析とか数字が並ぶと億劫になると思いますがデータ分析の奇才との出会いは先入観を打ち消して余りあるものでした。


  ドイツ在住の庄司悟氏と出会う前はゲーム分析の資料を見せられて堅苦しい説明を聞かされるのであろうと期待はしていなかったのである。


 スクリーンに映し出される図式は観る者に興味を持たせるのに時間は不要で画面を食い入るように眺めると試合の状況が見え隠れしてくるのである。


 データは ‘06W−Cup や C L の試合だったのでゲーム内容も鮮明に憶えていたので尚更インパクトは強かったのも事実である。


 初対面であったが講習の後、酒を酌み交わしサッカー談義を楽しみましたが久々に豪傑と出会った喜びに浸りました。


 庄司氏の「こだわり」は止まるところを知らないようで二度目の出会いは大阪でJFAカンファレンスが開催されていた時に更に進化したデータと出会うのである。


 見せ付けるではなく魅せ付けられたと表現するのが正しいと思える程、図式が易しく語りかけてくる。


 幾つかの疑問や要望を庄司氏に投げ掛けた所、数日経って送られて来た資料は動画となってシステム変動やサーモグラフも時間の経過まで一目瞭然である。


 顕著な例は ‘06W−Cup アルゼンチンの決勝トーナメント緒戦のメキシコ戦とドイツ戦のデータであり対照的なサーモグラフを見るだけで納得できます。


 クリンスマン監督(ドイツ)がメキシコ戦のデータを検証していなければ為せなかった筈である。


 データ分析に心酔している訳ではなくデータは生き物であると認識させて下さった庄司氏に感謝の意を表し求道者のひとりとして畏敬の念を抱いている。


  この資料が身近に見られるようになるのも遠くはない。