S級の視線
                                    平田生雄

  第64回   【 憂い


 日本代表は「ドーハの悲劇」を経て、日韓共同開催も含めて3大会連続で[W−Cup]の出場権を得た事で日本の強化に関しては [ J−League ] の発足以降は順風満帆であると思います。


 アジアでは勝てないと酷評され続けた日本代表も、今では標的にされFIFAランキングに関しては [ KIRIN−CUP ] に代表される [ 国際 A−Match ] を精力的に開催出来る恩恵も有り、それ相応の位置をキープしている。


 JFAの川淵キャプテンは世界に冠たる日本のサッカーを目指して更なる前進の為に「構想としては雄大で素晴しい」と感心させられる種々のプロジェクトを立ち上げておられますが「絵に描いた餅」に終わらない事を祈っている。


 このような構想が膨らむ【望み】が有る反面、現実的な【憂い】の度合いも日増しに膨らんで来るのである。


 今の日本代表が好成績をあげている年代にはユース・オリンピック代表として将来が嘱望されていたタレントが数多くいました。


 「ドーハの悲劇組」が残した財産に肉付けをしたのが現日本代表であり、オフト⇒トルシエ⇒ジーコと受け継がれたチームは、期待を裏切らない活躍をしている。


 これは、日本サッカーの[W−Cup開催に向けての強化対策]が花開いたと言えるし同じような対策が以前にもありました。


 殆どのサッカーファンが知らない東京オリンピックの強化対策を継続してメキシコオリンピックで実り銅メダルを獲得した時である。


 しかし、あの時代とは比較出来ない程、世界のサッカーは歩を早めているようで国体強化のような手法では対応出来なくなっているようです。


 ここ数年のユース世代はアジアでも厳しい状態であり世界水準とは言えないようで[ J−League ] に出場している17〜8歳の選手は数名で、出稼ぎ軍団の活躍無くして [ J−League ] は客が呼べないのは【憂い】以外の何物でもないし、明日の日本が明るいとは言えないようです。


 日本を代表するタレントである海外組もレギュラーで出場しているのは数名であり特筆すべき活躍をしているとは言えないようです。


 何故こんな憂鬱を感じるのか紐解いてみれば先進国と呼ばれる欧米では若くて才能豊かな選手が「雨後の筍の如く」溢れているように思えるのです。


 若い才能がフィールドで弾ける光景は「明るい未来」を感じるしフレッシュで躍動感に満ちたプレーを誰もが期待している筈である。


 日本には、そのようなタレントは少ないのでしょうか??


 [ J−League ] でも重要なポジションは出稼ぎ軍団が占めているのでストライカーやゲームクリエイターが育たないのは当たり前である。


 若手にはチャンスを与えているし育成にも力を注いでいると誰もが同じ思いであると信じたいが、育たない現実が有る事も事実である。


 サッカー育成と強化の[壁]と言われる教育制度を解決出来る為には学歴社会の体質改善から取り組まなければならない気の遠くなるプロジェクトである。


 上が変わらなければ下は育たないもので、気が付かないのではなくて短い期間に結果を求められるから有能な若手に任せられない臆病が原因かも知れない。


 オシム監督やヒディング監督の「蛮勇の決意」が選手やチームに勇気を与えるしサポーターも望んでいる。